高速液体クロマトグラフィー用充填カラム
InertSustain / Inertsil シリーズ
取扱説明書
1 はじめに
このたびは、本製品をご購入いただき、誠にありがとうございます。
性能を十分に発揮させるために、本取扱説明書をよくお読みのうえ、正しく使用してください。
2 注意事項
2-1 使用上の注意
●
カラムを落としたり、叩いたりしないでください。強い衝撃を与えるとカラム劣化の原因となります。
●
カラムは高圧スラリー法で充填されているため高い耐圧性を示しますが、長期間安定して使用するた
めに下表に示す圧力以下での使用をお薦めします。
粒子径
カラムサイズ
1.9 µm, 2 µm
全てのサイズ
3 µm HP
全てのサイズ
3 ~ 10 µm
内径 0.3 ~ 50 mm
3 ~ 10 µm
内径 0.05 ~ 0.2 mm
5, 10 µm
内径 100 mm
●
急激な圧力変動に注意してください。
・ カラムを取り外す時は、圧力計の表示が 0 になってから行ってください。
・ 試料注入バルブの緩慢な操作は、カラム入口に急激な圧力変化を与えますので注意してください。
●
試料はなるべく溶離液と同じ組成の溶媒(グラジエント時は初期溶媒)に溶かしてください。
溶離液よりも溶解力の強い溶媒に溶かした試料を多量に注入すると、分離能が低下したり、カラムの入
口で試料が析出したりします。
●
互いに混合しない溶離液(例:順相から逆相系)の置換は、 2-プロパノールやエタノールなどの中間極
性溶媒をカラムの 10 倍量以上流してください。またアルコール系溶媒は送液時の圧力が高くなるた
め、カラムの上限圧力に注意して流量を調節してください。
●
溶出の早いピークがテーリングする場合、その原因としてデッドボリュームが考えられます。
カラムジョイント部分の接続配管が奥まで挿入されているか確認してください。
また、インジェクターおよび検出器への配管は、使用するカラムの内径やその分析系に適した内径、
長さの配管を選択してください。
特に、セミミクロカラムなどを用いて低流量で分析する場合には配管の影響が大きくなります。
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圧力上昇やピーク割れの原因としては、カラム入口のフィルターの目詰まりや汚れが考えられます。
・ 溶離液は 0.45 µm 以下のメンブレンフィルターなどでろ過してから使用してください。
・ 試料液は、GL クロマトディスクなどでろ過してから注入してください。
・ ガードカラム for UHPLC やカートリッジガードカラム E を用いるとカラムの目詰まりを防止できます。
●
使用前に、溶離液でカラムを十分に平衡化してください。
(HILIC やイオン対試薬を用いた逆相モードは安定するまでに時間がかかることがあります。)
●
Inertsil Amide には有機溶媒 50%未満の溶離液は絶対に流さないでください。
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LC/MS の分析条件や装置の種類などによっては、カラム出口から析出物が見られる場合があります。
析出物の影響を確認の上、使用してください。
●
カラムの使用 pH 範囲、上限温度は下表を参考にしてください。
(表に記載がないカラムの使用 pH 範囲、上限温度はジーエルサイエンスのホームページをご参照
ください。)
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上限温度を超えて使用した場合は、早期劣化に繋がりますので注意してください。
使用 pH 範囲
製品名
(常用 20-40℃)
1-10 ※1,2,3
InertSustain C18, Swift C18, Bio C18, AQ-C18
InertSustain C8, Swift C8, Phenylhexyl
1-10 ※1,2,3
InertSustain AX-C18
1-9
※1,2,3
InertSustain Amide
2-8.5 ※2
InertSustain Phenyl, NH2 , Cyano, PFP
2-7.5 ※2
2-7.5 ※2
Inertsil シリーズ
1-7.5 ※2
InertSustain C30
※1
使用 pH や温度、溶離液組成などの条件により、カラム寿命は大きく変化します。安定して長期間使用
するために、カラム温度を下げ、低濃度の緩衝塩や添加剤を用い有機溶媒を含んだ溶離液で分析する
ことをお薦めします。pH 1~2 における分析は、TFA、ギ酸、酢酸、リン酸塩等の使用を推奨します。
また使用 pH 範囲内において、 pH 9~10 における分析は、5 mM 程度の有機系緩衝液
(トリエチルアミン等)の使用を推奨します。
有機溶媒を含まない緩衝液だけで分析する場合には、pH2~8 の範囲で使用してください。
※2
早期劣化を防ぐために、溶離液の pH は上記の範囲を超えないように注意してください。
※3
使用 pH 範囲内において pH 1~2 または pH 9~10 で使用する場合は、低温での分析や、メタノール
などの有機溶媒を含んだ溶離液の使用をお薦めします。
2-2 UHPLC PEEK / PEEK カラム 取り扱い上の注意
●
UHPLC PEEK / PEEK カラムは接液部がすべて樹脂製となっており、特にカラムポート部分が非
常にデリケートな構造となっています。そのためステンレス製カラムと同様に取り扱うと、接液部が破
損する可能性があります。
●
ステンレス製カラムよりも弱いトルクで接続できますので、装置配管等に接続する際は液漏れが起こ
らないことを確認しながら、漏れない程度のトルク(目安:0.8 N・m 程度)で締め付けてください。
●
長時間または繰り返し使用するなどで、先端が変形しているオシネは使用しないでください。
カラムポート部が破損する可能性がありますので、新品かつ樹脂製のオシネを使用し接続していただ
くことをお薦めいたします。
[推奨フィッティング:2ピースタイプの樹脂製オシネまたは MarvelXACT PEEK-Lined タイプ]
●
THF やクロロホルムを長時間通液すると、カラムの早期劣化に繋がる場合があります。
●
カラム取り付け、取り外しの際は、接続オシネとカラムエンドナット部分を持って行ってください。
推奨圧力
80 MPa 以下
50 MPa 以下
20 MPa 以下
15 MPa 以下
10 MPa 以下
2-3 キャピラリーEX/キャピラリーEX-Nano カラム取り扱い上の注意
●
カラムジョイントは 1/16 インチオシネ接続および 1/32 インチ接続のパーカー型(UP)となります。
●
キャピラリーEX カラムは絶対に曲げないでください。
●
キャピラリーEX-nano カラムは、ある程度曲がるようになっておりますが、曲げすぎるとカラム劣化
の原因になりますので注意してください。
●
キャピラリーカラムは正しい配管接続が行われないとデッドボリュームにより本来のカラム性能が得
られません。接続キット(別売品)を利用しますと簡単に接続できます。
2-4 分取 HPLC カラム 取り扱い上の注意
●
移動相の流量が、通常の分析カラムに比べてかなり多くなりますので、流路の配管もそれに応じて、内
径 0.8 mmもしくは 1.0 mm のものをお使い下さい。
※内径 14 mm のカラムまでは汎用配管での使用が可能です
●
流量が多くなると、サンプル注入時のバルブの切り替えで一時的に閉塞するために、カラムに負担がか
かり劣化の原因となります。カラム保護のため、インジェクターにバイパスを付けることをお勧めします。
●
最適流量は下表を参照してください。
カラム内径
7.6 mm
8.0 mm
上限温度
10 mm
14 mm
60℃ (pH 1-7)
50℃ (pH 1-10)
20 mm
60℃ (pH 2-7)
50℃ (pH 1-9)
60℃ (pH 2-7)
50℃ (pH 1-8)
30 mm
60℃ (pH 2-7)
50℃ (pH 2-8.5)
50 mm
60℃ (pH 2-7)
50℃ (pH 2-7.5)
100 mm
60℃ (pH 2-7)
50℃ (pH 2-7.5)
60℃ (pH 1-7)
50℃ (pH 1-7.5)
3 製品の特長
本製品は、母体シリカゲル、化学修飾、充填後のカラム性能検査まで各工程において弊社独自の厳しい規格
のもとで行っていますので、常に同じ品質が得られ、安心して使用いただけます。
エンドナット
※この部分と接続オシネを持ち、
締め付けてください
カラムポート
最適流量
2 ~ 4 mL / min
2 ~ 4 mL / min
3 ~ 5 mL / min
5 ~ 10 mL / min
10 ~ 20 mL / min
20 ~ 45 mL / min
70 ~ 130 mL / min
200 ~ 300 mL / min
4 内容確認
●
カラムの外観、梱包等に異常がないか確認してください。
●
充填剤名、カラムサイズ等に誤りはないか確認してください。
●
カラムパフォーマンスレポートが同梱されていることを確認してください。
カラムパフォーマンスレポートには、充填剤ロット No.、カラムシリアル No.、カラムの
性能検査溶離液などが記載されていますので、大切に保管してください。
●
カラムには原則としてカラムパフォーマンスレポートに記載の溶離液が封入されています。
5 別売品
製品名
キャピラリーEX カラム用接続キット
キャピラリーEX-Nano カラム用接続キット
6 仕様
主なカラム
種類
InertSustain NH2
順相系
Inertsil SIL-100A, CN-3, NH2, Diol など
InertSustain C18, AQ-C18, AX-C18,
逆相系
Phenyl, PFP, Cyano, C30 など
Inertsil ODS-4, ODS-3, C8-3, Ph-3 など
InertSustain Amide
Inertsil HILIC, Amide など
HILIC 系
InertSustain NH2 with 100% CH3CN など
Inertsil CX, AX など
イオン交換系
7 保管
●
逆相カラムで緩衝塩やイオン対試薬などを含む溶離液を使用した場合は、塩を除いた溶
離液で十分洗浄してください。
●
InertSustain AX-C18 で強イオン性成分を分析した場合は、酢酸アンモニウム
50 mM~100 mM を含むメタノール溶液で十分に洗浄してください
●
逆相カラムはアセトニトリルやメタノール等の有機溶媒で置換してから保管してください。
●
逆相溶離液使用時の NH2 カラムの洗浄は、水/アセトニトリル=50/50 等で行ってく
ださい。
保管時には 100%アセトニトリルに置換してから保管してください。
●
順相カラムの洗浄は、エタノールや 2-プロパノールを通液し洗浄してください。
一般的にアルコール系の溶媒は送液時の圧力が高くなるため、カラムの圧力上限に注
意し、必要に応じて流量を下げて送液してください。
保管時には 100%ヘキサンに置換してから保管してください。
●
HILIC 系カラムを緩衝塩が含まれる溶離液で用いた後は、親水性物質の除去のために
水濃度の高い溶離液(水 50%)で通液し、アセトニトリル濃度の高い溶離液 (アセトニト
リル 80%以上) に置換して保管してください。
●
Inertsil CX と Inertsil AX は、出荷時封入溶離液がメタノール 100%のため、緩衝
液を通液される場合は、先に純水に置換してから通液してください。
緩衝液使用後も先に純水に置換してからメタノール 100%で保管してください。
●
カラムを保管する場合は付属のプラグで密栓をして、温度変化や湿気の少ない冷所に
保管してください。
※UHPLC PEEK / PEEK カラムの場合は、装置に接続する際と同様に、締めすぎな
いように注意してプラグを取り付けてください。
InertSustain / Inertsil シリーズは、厳しい品質管理のもとで製造、検査、包装、出荷さ
れておりますが、万一不具合がありましたら弊社支店・営業所または代理店までご連絡くだ
さい。
ただし、破損や寿命に関する問題、および本取扱説明書に従わない方法での使用による劣
化等につきましては保証いたしかねます。
仕様および外観は予告なく変更される事がありますので、ご了承ください。
発行 2023 年 4 月
第 3-1 版
〒163-1130 東京都新宿区西新宿 6 丁目 22 番 1 号
新宿スクエアタワー30F
https://www.gls.co.jp
不許複製 Printed in Japan ©2010 GL Sciences Inc.
Cat. No.
5020-01880
5020-01881
出荷時封入溶離液
ヘキサン/エタノール
混合溶離液
アセトニトリル/水
混合溶離液
アセトニトリル/水
混合溶離液
アセトニトリル 100%
メタノール 100%
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